女性起業家支援への想い

代表取締役社長の写真
ジェンダー平等、働きやすい
環境づくりの推進を目指して—

ちふれホールディングス株式会社
代表取締役社長
片岡 方和

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環境づくりの推進を目指して—

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ちふれホールディングス株式会社
代表取締役社長
片岡 方和

女性を取り巻く環境の厳しさの中、輝くたおやかさとたくましさに心を動かされて—「女性起業家支援制度」導入のきっかけ—

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多くの女性に支えられてきた会社だからこそ、頑張る女性を応援したい。そんな想いを持つようになったのは、一人の女性起業家との出会いがきっかけでした。

その方とは、私がエンジニアリング会社に勤務していた時の同期社員を介し、今から30年ほど前に知り合いました。まだ女性が結婚を機に離職し、家庭に入ることが珍しくない頃のことです。
その方は、私の同期社員と同じ大学を卒業後、キャビンアテンダントになり、結婚を機に退職。パートナーの海外赴任についていったそうです。パートナーの赴任先は掃除上手の方が多いといわれ、また掃除代行業者が活躍しているドイツ。元々きれい好きだったのかもしれませんが、数年のドイツでの生活も影響してか、帰国後、その方は1987年にハウスクリーニングの会社を立ち上げました。決して性別で単純に傾向をわけられるものでもないとは思いますが、当時は今よりも女性が起業することは珍しく、その決断力と、男性とは異なる視点でしなやかに事業に邁進する姿は私にはとても魅力的に見えました。

その頃、私は40歳を少し過ぎた年齢で、勤務していたエンジニアリング会社が新しく設立した関連会社の代表取締役になりました。その会社は当該エンジニアリング会社を含む、グループ会社(国内・海外)の税務や会計業務を担当すると共に、私自身、経営者としての業務を執行しつつ、税務コンサルティングや監査業務などにも携わりました。この新会社はグループ会社の一つであることや、性別という点でも異なりますが、その方と同じく私も起業家でかつ経営者という立場になりました。全く異なる業種でしたが、同じ経営者として時折、交流の機会があり、ある時、その方が、従業員に対して厳しく接しているところを見て、驚いたことがあります。もっと驚いたのは、厳しい指導をされている従業員に「この社長についていきたい」と思われているということでした。こんなに厳しくしても、ついていきたいと思われるとはすごいものだ——。その指導力や人間としての度量にただただ感銘を覚えたものです。そして、いつか自分に人を応援する力がついたとき、大変な環境にあっても、志をもって起業を目指す女性の支援に挑戦したいという想いを持つようになりました。

その後、縁あって、株式会社ちふれ化粧品(当時)の業務に携わるようになり、安心・安全な化粧品をお届けし続けるだけでなく、志ある女性を応援したいという想いは強まったように思います。そして、2010年、予想もしていなかった代表取締役社長の任を預かることになった時、この「女性起業家支援制度」の導入をより現実的な「夢」として思い描くようになりました。

そうして、社長就任から3年後の2013年、社内では反対の声があがらなかったわけではありませんが、課題やリスクも認識した上で、ついに女性起業家支援制度を導入いたしました。

女性起業家支援制度の採択者への想い

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子育て支援コンサートなど音楽を軸とした事業、シンプルな構造ながら画期的な靴の製造、小さなお子さん向けのヘアアクセサリーなどの企画製造、知的・精神障害者やニート・ひきこもりの方の経済的自立を目標としたカフェ事業、管理栄養士の資格を活かしたレシピ開発や飲食事業、オリジナルの便利グッズの発明、働き方の創造と支援のサービス——。それぞれの方については「採択者紹介」のページをご覧いただければと思いますが、事業内容は様々でありながら、どの女性起業家の方にも共通しているのは、「人を幸せにしたい。笑顔にしたい。」という気持ちが原動力になっているのではないか、ということです。

一般的に、起業は大変なこと、と思われがちで、実際に心理的にも物理的にもハードルが高く感じることだと思います。当社は、女性起業家支援制度を導入するにあたり、様々なリスクを想定、協議・検討し、採択基準を厳しくしていますが、それは自分の夢に向かって、ひたむきに努力している女性の方が「起業の壁」を超え、成功していただきたいからこそのことです。

2013年度の開始から2021年度までに計6回募集し、採択した7名の方は、起業・事業拡大にあたっての費用面のサポート(資本金の出資及び貸付金の貸付)、会計税務の基礎知識など、起業直前の準備に必要なことを確認するためのセミナーや、実践的な経営課題を解決する為に必要な知識を学んでいただくためのセミナーを受け、起業や事業拡大の夢を叶えておられます。

先に述べた、女性起業家支援制度導入のきっかけとなった方は、ほぼ今も立ち上げた会社を代表として経営されていますが、これは本当にすごいことだと思います。採択者の7名の方、そして今後、募集し、新たに採択される方にも、どんなに大変なことがあっても、誰かを笑顔にし、自身も幸せを感じられる道を歩んでいただきたいと願っています。

経営者に必要だと感じる考え、姿勢—
チャレンジ精神旺盛な女性起業家の方へのメッセージ

私は社会人として50年以上、仕事をしてきましたが、人として経営者として、いくつになっても勉強する必要があると思っています。世の中に無数にある会社は、ひとつひとつ異なりますし、私が経営者に必要なことを語るのも……とは思いますが、経営者をはじめとする経営層は、権限を持っていると同時に重い責任があり、会社の掲げる目的に真摯に取り組み、会社を発展させ、利益を確保し、資産を増やす役割があります。

当社グループの基本理念に、「常に適正な利潤を確保し、着実に発展し続けなければなりません。」という言葉があります。利益や資産がなければ、やりたいことも、やるべきこともできなくなりますし、その会社の従業員の生活の安定も保てません。このようなことを申し上げると、利益第一と考えているように思われそうですが、私が経営者として最も大切にしたいのは「まずは従業員が幸せであること」です。従業員は会社経営や会社の発展に重要な存在であり、その従業員の幸せがなければ会社としての力は十分に発揮できません。そのためには、基本理念にある通り“適正な利潤”が必要、ということです。

生きていると、天災などの困難に見舞われたり、運も、事業経営に影響することもあります。それでも、どのような困難が訪れたときも、常に冷静さと情熱を失わず、経営者として本当に従業員の幸せを大事に考えられるかどうかが、経営者として、また人としての成否をわけるのではないかと思います。

女性起業家支援制度の採択事業の中には、お一人で経営しているケースもありますが、事業活動は必ずしも一人でできるというわけではなく、従業員をはじめ色々な方に支えていただいています。その場合はどなたであっても支えてくださっている「人」を大切にできるかどうかが、経営者としての鍵となるはずです。

当社グループの経営については、グループの経営理念「私たちは、正義感と誇りをもって、うそのない事業活動を行い、世界中の人々と共に、心ゆたかに生きられる社会・文化の創造を目指します。」に集約されていますが、女性起業家支援制度の導入は、この経営理念あってこそのこと。今後もこの制度が、夢の実現に向けて頑張る女性の一助となり、その夢が社会を支えていく素晴らしい事業のひとつとなる事を期待しています。

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