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PDLCフィルム:機能的で審美的な疑似皮膚への実用的なアプローチ 第31回 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)横浜本大会2020にて口頭発表

技術・研究開発

2020/11/18

ちふれホールディングス株式会社(本社:埼玉県川越市、代表取締役社長:片岡 方和)は、2020年10月21日(水)から10月30日(金)に初のオンライン形式で開催された「第31回国際化粧品技術者会連盟横浜大会2020(The 31st IFSCC Congress 2020 Yokohama)」において、機能的で審美的な疑似皮膚の開発(関連特許:特許第6629421号)について口頭で発表しました。今後は、本技術をちふれホールディングス株式会社の商品に応用していきます。

■IFSCC2020について
IFSCC(International Federation of Society of Cosmetic Chemists)は、79の国と地域を代表するさまざまな組織から16,000人以上のメンバーが参加する世界的な化粧品技術者協会です。偶数年に開催された「IFSCCコングレス」は、化粧品と皮膚科学に関する研究発表として権威のある大会と見なされています。IFSCC 横浜本大会2020は、COVID-19の発生により初めてのオンライン形式での開催となりました。

■発表タイトルと概要
英語名Scalable Production of Wearable Lipid-Polymer Composite Films Featuring Skin-like Properties via Polymer-Dispersed Liquid Crystal Technology
和名ポリマー分散型液晶技術による皮膚のような特性を特徴とするウェアラブル脂質-ポリマー複合フィルムのスケーラブルな生産

発表者:ちふれホールディングス株式会社 綜合研究所 研究部 Dr.ファティン・ハッジャジ

発表内容の概要:
一般的な疑似皮膚は高分子フィルム(ポリマー製の薄膜)でできており、PM2.5やウイルスなどの外的要因から体を保護するだけでなく、肌を美しく見せます。 一方、皮膚の機能に近づけるために重要なセラミドやコレステロールなどの脂質は、疑似皮膚に安定して含めることは難しいと考えられてきました。
弊社はこの問題に対処するために、ディスプレイ業界で一般的に使用されているポリマー分散液晶(PDLC)技術を応用することで、液晶(LC)分散液としてポリマーフィルムに大量の脂質を含有することに成功し、PDLCフィルムとしてウェアラブルで透明な疑似皮膚の開発に至りました。
作製したPDLCフィルムの性能を検証するために、さまざまな機能や特徴を従来技術(LC非含有高分子フィルム)と比較しました。その結果、以下の4点すべてで良好な特性を得ることができました。

①肌との親和性:
PDLCフィルムは高分子フィルムよりも疎水性であるため、同じ疎水性である肌との親和性が高くなることが予想されます。

②表面の滑らかさ:
PDLCフィルムの表面の特徴はマイクログルーブで滑らかであることが分かりました。この特徴は、若々しい肌の質感を彷彿とさせます。

③アンチポリューション効果:
PM2.5に代表される粒子状物質(1μm~10μm)の付着度合いを観察したところ、PDLCフィルムはほとんど付着しなかったことから、優れたアンチポリューション効果を発揮することが分かりました。この理由として、表面の滑らかさが寄与していると考えています。

④水分保持機能*:
PDLCフィルムは優れた水分保持機能を有することが明らかとなりました。
 

実験結果画像

 
このようなPDLCフィルムの優れた性能は、分散したラメラLCが水分量を調節し、ヒトの肌にもみられる水分量の勾配を生成することによって発揮される独自の水和メカニズムによるものであると考えています(下図)。この卓越した水和メカニズムによって、PDLCフィルムは安全で保湿性があり、審美的な疑似皮膚として長時間適用するのに有用であることが期待できます。

図. PDLCフィルムの推定される水和メカニズムモデル
図. PDLCフィルムの推定される水和メカニズムモデル

弊社は本技術を活用した高保湿美容クリームやアンチポリューション製品への製剤開発をはじめ、安全性、品質、顧客利益の高い化粧品の研究開発に一貫して取り組み、今後も新しいスキンケア製品の開発に取り組んでまいります。

*この研究に関するその他の参考資料
https://www.chifuregrp.co.jp/news/rb0auu000000022q-att/rb0auu000000023z.pdf
 

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