ハーブの一種「ボラージ」を原料とした
「ボラージオイル」で肌の乾燥を防ぐ

ドライスキンと呼ばれる肌の乾燥・かさつき症状が引き起こす、慢性的な痒みや皮膚の赤みに悩む人は少なくありません。その改善のため、ちふれホールディングスの綜合研究所は1990年代中盤から肌の乾燥を抑える素材を研究する中で、ハーブの一種「ボラージ」の種子から採取した「ボラージオイル」が肌のかさつき改善に効果があることを発見しました。

アトピー性皮膚炎に悩む人の急増

1990年代半ばから、日本で患者数が増え続けている皮膚の病気「アトピー性皮膚炎」。アレルギー疾患の一種であるアトピー性皮膚炎は、慢性的な皮膚の乾燥と痒み、皮膚の赤みを引き起こします。アトピーの語源はギリシャ語の「アトポス:奇妙な」を意味し、現在に至っても発病の明確な原因が解明されていません。2001年に日本皮膚科学会が治療のガイドラインを発表しましたが、その頃から有効な薬がステロイド軟膏しかない時代が長く続き、またステロイド剤の副作用を懸念する声も少なくありませんでした。

そんな背景から、綜合研究所は1996年、肌が弱い人、乾燥に悩む人に役立つ商品を、化粧品のフィールドで作れないかと考え、探求をスタートしました。原料素材を探す中で大きなヒントとなったのが、ある取引先から聞いた「ボラージオイルを食用すると乾燥肌に良い」という情報でした。ボラージオイルとは、地中海沿岸が原産のボラージ(和名ルリジサ)というハーブの種子から抽出されるオイルで、古くはローマ時代から食用にされてきたという長い歴史を持っています。
ボラージ(ルリジサ)の花イメージボラージ(ルリジサ)の花イメージ

臨床試験はじめ数々の商品テストを実施

その頃の研究により、ボラージオイルは抗炎症作用を持つ必須脂肪酸のγ-リノレン酸を豊富に含むことから、皮膚の炎症の軽減にもつながることもわかってきました。また、イギリス、フランスなどのヨーロッパの国々では、γ-リノレン酸がアトピー性皮膚炎の医薬品として使用されているーー。そこで私たちはボラージオイルを使って、毎日肌の乾燥で悩み困っている人に向けたスキンケア商品を開発することを決めました。

ボラージオイル素材を活用し、肌の弱い人が快適な毎日を送れることを後押しするスキンケア商品を開発する。その目標を実現するために、綜合研究所では数々の試験を行いました。まず行ったのは、ボラージオイルに肌の乾燥防止作用があるか、その有効性を確かめる試験です。その次に、ボラージオイルを配合したクリームを、医師の指導のもとにアトピー性皮膚炎の方に塗っていただき、効果を確認する臨床試験を実施しました。商品開発のための臨床試験を行うのは当社グループ初の取り組みでした。同時に、医薬部外品に配合する新しい材料として、ボラージオイルが安心安全であるかを厚生省(現・厚生労働省)に相談しながら確かめるとともに、クリームに製剤化してからの安全性試験も慎重に実施しました。一方、皮膚に良い影響をもたらすボラージオイル中のγ-リノレン酸は、酸化しやすく、空気に触れると独特の匂いを放つため、酸化防止剤を工夫するとともにクリーム製剤中の適正な配合量を入念に検討していきました。

2種類のスキンケア商品に結実

そうした数々の試験の結果、綜合研究所ではボラージオイルを用いたスキンケア商品の開発に成功しました。その後、新商品を追加する際にも、医師の指導のもとで臨床試験を実施し、有用性を確認することが出来ました。皮膚保護成分であるボラージオイルに加え、保湿成分のチョウジエキス、シソエキス、ヒアルロン酸が配合され、かゆみが出る前に肌をしっとりさせることでドライスキンを改善します。

チョウジの葉、シソの葉、ヒアルロン酸イメージ チョウジの葉、シソの葉、ヒアルロン酸イメージ
ボラージオイルを配合したスキンケア商品は医薬部外品ですが、発売後、肌の弱い方やアトピー体質の肌の方からも「使って良かった」という感想を継続的にいただくようになりました。綜合研究所ではこれからも、スキンケアに役立つ新たな素材の探求に取り組み、人々のお肌の健康に貢献することを目指していきます。

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